アパートの裏の広場から望むアルバカーキ郊外の火山、ヴァルカン。手前は大陸横断をするＩ－４０ハイウェイ

町の至る所に排水路がある。滅多に雨は降らないが、一旦降ると洪水のようにこの排水路を流れ下る

サウスサンディアピークの麓、トラムウェイ通りのところから町を見下ろす。遠くに見えるのはテイラー山

サウスサンディアピーク（2981m）。まばらに灌木が生えるだけの砂漠の山

　到着翌日は日曜日。Ｋ氏ファミリーと買い物に出る。実は、アパートの真ん前がＫマートというホームセンターになっており、買い物をするには非常に便利である。ともかく、寝るのに必要な布団（ベッドはレンタル家具としてすでに据え付けられている）と通勤用の自転車である。一応は自動車も運転することを念頭において国際免許も用意しておいたが、町を見回した限り、全て自転車でことが足りる、と思えたためである。特に、アルバカーキは自転車人口が多いらしく、ほとんどの道路には自転車レーンがあり、また、自転車専門店も数多く見かける。ただ、この町で自転車に乗るにはある程度の覚悟がいることをすぐに思い知らされることになる。

　食料入手のためのスーパー（ファーズマーケット）も、自宅から大学に行く途中にあることが分かった。実に便の良いところに住むことができたようである。実際、私が住むことにした地域は市内でも特に治安が良いところと聞かされており、また、アパートもホテルのように二重ドアになっていて、関係者以外が容易には立ち入れないようになっている。施設にしても、プール、ビリヤード室、トレーニングジム、図書室、等々まるでホテル並みである。部屋自体も、ベッドルームとリビングの２室だけであるが、その広さは７５平米である。誠に贅沢な広さである。私が入居したときには、１０月だというのにまだ冷房が入っていた。キッチンは冷蔵庫や食器洗い器が標準装備になっている。ただ、この冷蔵庫と食器洗い器にはこの後いろいろと悩まされた。

アパート内部。床は絨毯敷き。１階だったので、ヒマなときに受け身の練習をしていた

とある雪の日のアパートの風景。ニューメキシコにも雪は降る

　アップタウンと呼ばれるもっと標高の高いところには巨大なショッピングセンター（コロナドショッピングセンター）がある。まさに、アメリカ的スケールのショッピングセンターである。近所にはもう一つ大きなショッピングセンター（ウィンロックショッピングセンター）があるが、とにかくコロナドはでかい。このほかに、Ｋ氏に教えて貰ったのは、もう少し北に行くとコリアンスーパーがあって、そこに行けば日本食が手に入るとのことであった。米は普通のスーパーでも売っていたが、日本人向きのおいしい米（田牧というブランド）を手に入れようとしたら、この少々離れたコリアンスーパーに行くしかなかった。

　さて、アメリカに住むにはソーシャルセキュリティーカードなるものを発行して貰わねばならない。これがないと銀行口座も開けず、ということはアパートの支払いも電話を引くこともできないのである。幸い、ソーシャルセキュリティーカードを発行する事務所はうちの近所であり（本当に便利なところに住んだものである）、事前にインターネットで入手しておいた申請用紙に必要事項を記載し、事務所に出向いた。発行そのものは非常に簡単で、ちゃんとニューメキシコ大学で働いていることを証明する書類を示したら、何の問題もなくカードは発行された（後日郵送）。　

ニューメキシコ大学中央図書館。ネイティブアメリカンの建築を意識した印象的な建物

同工学部図書館。この図書館は地上ではなく地下に広大な図書室を有する。参考文献類はコピーカードを購入して自由にコピーできるようになっていたが、静電気でカードを何度も駄目にした。とにかくここは乾いた土地なのだ。

１２月のクリスマス前、大学構内は無数の蝋燭のイルミネーションで幻想的な雰囲気

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　大学の方は、透過電顕を使った触媒の研究を行っている教授の研究室である。学部そのものは、原子力工学となっているが、特に教授の研究室は原子力に関係する研究は行っていない。ともあれ、ニューメキシコは原子力とは切っても切れない縁にある州である。マンハッタン計画で有名なロスアラモス研究所もニューメキシコにあり、また、世界最初の原爆実験もニューメキシコで行われている。結局私は行かなかったが、アルバカーキの空軍基地の近くには原子力博物館もある。